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昔の人の知恵

毎日、沢山の方とお話しをさせていただくことが多くなりましたが、特にお年寄りと話している時に、時々出てくる「ことわざ」があります。

「地獄の扉が開く」

「地獄の釜の蓋が開く」

解釈としては、お盆の期間は地獄も休みだから、お盆の時期くらいは、みんなも休みなさいという意味ですが、

お盆の時期に、よく使われることわざです。

お年寄りによると、極楽に行ったご先祖さんと地獄にいるご先祖さんが、帰って来た私たち子孫の家で会うのだと。お寺さんの法話を聞き、極楽にいるご先祖さんに色々教えてもらい、地獄に一旦は帰らなければならないご先祖さんが、地獄から極楽に行ける方法を、色々お教えてもらえる大切な時期でもあるのだと。

これは、民間信仰と呼ばれる、日本の歴史の中の、大変な時代を生き抜く上での、人の生活の中で生まれたお話しなのだそうです。しかし、その一つ一つに、いのちを尊重する意味があるのだと言われています。

お年寄りが話す、ことわざの解説が又、深いものです。

そんな中現場では、不思議な現象が起こることがあります。

足音、
何もしていないのに物が落ちる、
誰も触っていない扉が開く、しかもまた閉まる。など。

そんな時、

「地獄の扉の門番が、寝坊してるんでねぇか⁉︎

閻魔さんに、ばぁちゃんが頼んでおいてやっから!まず、任せとけ!」

普通に怪奇現象と呼ばれるようなことも、多々起こりますが、叫び声が上がりそうな、そんな緊張感の中。おばあちゃんの頼もしさに、自然と拍手が起こるものです。

「カッコイイ!」

歓声も、上がります。

現場に居た子ども「地獄の扉って、どの位の大きさなの?」

おばあちゃん「その扉の(部屋の扉を指差して)、100倍だ!」(得意気)

子どもたち「えーーーー!!じゃ、門番の身長は?」

おばあちゃん「100倍の扉の半分だ!」(もしかして、適当⁉︎)

子どもたち「げーーーー!でかーい!!」

おばあちゃん「靴揃えて、部屋片付けて、人に優しければ、その扉には行かないから。」

子どもたち、靴を揃えるため玄関に走る!

おばあちゃん、ガッツポーズ後、ニヤリ。

そう、民間信仰は「戒め」の話も多いのです。昔は、大人が子どもに話して聞かせ、大人の目の行き届かない所でも、規律やモラルを自分で判断できるように伝え残したのだと、お年寄りは話してくれます。

門番に頼める、閻魔様と話せる、亡者を極楽に行けるように交渉出来る⁉︎そんなお年寄りは、昔から偉大だったのでした!そんなお年寄りが、絶対的に大切にするご先祖さんやお寺さんは、だからもっと大きな存在なのだと思います。

現場で自らお寺さんにひれ伏す子どもたちを見たことがありますが、お寺さんもびっくりしてたけれど、私もびっくりしましたが、語り続けていたおばあちゃんは満足気でした。

生活の中にある死生観やモラルを、こうして風習やしきたりを語る、語り部の偉大さを知る現場もあるのでした。

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