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新型コロナウイルス

   日本も世界と同じく、新型コロナウイルスの対応に追われている現状です。

 その中で、現在非常にお問い合わせが増えておりますお別れの内容、対策について、少し触れたいと思います。

 その前に、お亡くなりになられた皆さまに心よりお悔やみ申し上げます。そして、感染された皆さまに、お見舞いを申し上げます。

 大切な家族を亡くされたご家族、目を落とすご本人の心境を考えると胸が痛くなります。

 これまで全国セミナーに回らせていただいたからこそ知っている医療者の皆様のお人柄を思い出すと、同じくらい、最期に対面させてあげることさえ叶わない、医療の皆さんの心痛と御尽力を思うと、さらに深く胸が痛みます。

 私も法医学の諸先生方々からご教授いただきながら、コロナウイルス対策を毎日情報を更新させながら考え、皆さまの質問や遺体収容実務に関してお答え致しております毎日です。実際、朝から夜まで毎日、対応に追われています。

 弊社職員へのコロナ対策の伝達も、国の動きに合わせて毎日更新しています。

 残念ながら、新型コロナウイルスで亡くなられた方のご本人とご家族のお別れは現在、叶いません。それは、志村けんさんが身をもって私たちに教えてくださった通りです。

 亡くなった人の体には、ウイルスだけではなく様々な病原菌が火葬されるまである一定の日数、生き続けています。通常であれば、その方それぞれの状態に合わせた死後処置を行うことでより安全なお別れの環境を作ることは可能ですが、新型コロナウイルスに関しては、残念ながら現在はそうもいきません。

 お別れの時間は元々、体があるうちにお別れをしたいと思われて、不特定多数の皆さまが集まります。

 これまで私の講演では普段から、感染管理と予防策と対処策を現場実践の流れの中でグリーフケアと組み合わせてお話しさせてもらっていました。現場には元々、様々な感染症連鎖の可能性があるからです。故人と故人を大切に思われて集まられている方を守るための知識と実践は、とても大切です。

 新型コロナウイルス・COVID19の対応に関して遺体管理実務に関しての講義を6月のフューネラルビジネスフェアでお話しさせていただく予定になっておりますが、延期になる可能性が高いこともあります。

 これまで病院が行っていた実務を、民間に引き継ぐと国からのおふれが一昨日出て、全国各地、多業種の皆さんが困惑しているのは事実です。

 感染防御のための手順を間違うと感染防御は叶わないことになりますので、使用法もしっかりと手順に沿って実践しないと、どんなに良いものを使っても意味がありません。

 当然現場ではred zone(危険エリア)他様々なエリアや、keep out(使用禁止区域)、cluster(集団発生)など、感染管理の常識に加えてソーシャルディスタンシング(距離)を意識して実践することは当然ですが、 

 現在、お別れが叶わなくても故人をしっかり守って差し上げることで、尊厳を守り、その最期の様子と姿をご遺族にお伝えすることは、出来ることに対して、どこまで尽くせるかは、普段の現場と変わらないことも沢山あります。

 出来ないことを見つけて苦しむよりも、誰かと比べるよりも、一人ひとりの今のお別れを、世界に一人しかいないあなたのために、最善に考えてお見送りが出来るよう、今こそ知識と知恵を振り絞って、話し合って作っていく時だと思います。

 毎日更新されるコロナウイルスの情報に対し、私も、新しいグリーフケアの形を毎日ご提案しています。毎日悩む中でなんとなく見えてきた、お別れの形、きっと叶えられる形を作ろうと考えています。

 感染の連鎖には充分に気をつけて、自分が媒介者になるかもしれないという意識を高くもって生活するのはこれまでと変わらないことだと思います。
 
 私の父は、先月3月7日に亡くなりました。元々心臓が悪かったので、通常死です。私は密葬にしました。葬儀は、今年の7月12日に西和賀の碧祥寺で執り行うことにしました。なので、火葬のみ家族だけで行いました。

 新型コロナウイルスのclusterの対策でした。きっと父は皆さんを思い、新型コロナウイルスに感染されていた方が万が一居られたらその方を心配し、沢山の方に集まっていただくことは励みにはなりますが、万が一そこでclusterが発生したら、悲しむと思ったからです。

 静かな火葬でしたが、その後に届く沢山のお花、アレンジメント、お悔やみ、お手紙、食品、父の好きだったお菓子など、本当に嬉しかったです。お骨になった父に毎日話し掛けて、◯◯さんからいただいたよと、伝えています。

 こうして父を亡くし「お悔やみ申し上げます」という言葉が、自分と同じ気持ちで居てくださるのだと、こんなに嬉しいものなんだと感じています。

 夜中の2時に足音や歩行器で廊下を走る音を聞き、普通は怪奇現象と呼ぶのだとは思いますが嬉しくて、枕を涙で濡らして静かにその音を聞いていました。最近は、寝ている時にうるさいので、「じじの今の生活には、朝昼晩はないかもしれないけど、体のある人は寝ないと不健康になるから、寝かせて!静かに!」なぁんて、今は話し掛けます。そうすると、静かになります。慣れって、こわい!(笑)

 大切な家族を亡くした経験の中、悲しみが癒えることはありませんが、一緒に過ごした記憶や遺品に支えられ、故人のおもかげに元気付けられながら過ごしています。こんな風に、故人はいつも傍に居てくれると思います。あなたをとても心配して且つ、マイペースで(笑)。あなたが笑えば、故人も笑顔。私はそう思って、今を過ごしています。

 感染防御は自分を守り、周りも守ること。手順や方法、生活スタイルをしっかり考えて決めること、覚えて実践することが大切です。

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