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令和3年2月11日追悼イベント (2)

   そして私は、二週間以上前に東京に行った。医療従事者向けのセミナーで、延期、延期と続いて中止になるのかと思っていたセミナーだった。

 スポンサーの日総研さんから、感染管理は徹底してます。定員は満員で、キャンセル待ちがすごい人数。100人を超えたと、知らせを受けた。

 待っていてくれる人が、そんなに沢山いるということは、行かなければならないということだと、思った。

 出張中の移動はタクシー、外出はなし。移動も感染管理を徹底した。

 会場はソーシャルディスタンスも守られ、寒いくらい換気も行われていた。他、医療従事者向けのセミナーだから、当然感染管理は厳しいくらいに、徹底されている。

 今、感染に対して何の連絡もきていない。だから、会場での感染者はない。0。そういうセミナーを、行えた。良かった。それは、みんなで頑張った結果です。

 会場内は、ソーシャルディスタンスを取った。それにより心が離れてしまっているという現象が起きているこの世の中。会場内は、みんな、心の距離は近かった。お互いを思い、温もりがいっぱいだったと思う。

 行って良かったと思った。それは、泣き出す医療従事者がとても多かったからだった。

 SOSをどこにも出せない。

 今の状況が辛い。

 助けてください。

 そう言って泣き出す人が多かった。

 行って良かったと思った。行かなければ、みんなの悲しみには出逢えなかったから。

皆さんに言った。

「あのね、2月11日に追悼イベントをするの。YouTubeにUPして良いよって、警察、海上保安部、自衛隊、消防の皆さんが許可してくれたの。2月11日の様子を、3月11日にUPするけど、待てる?」

 みんな、言った。

「待てない」と、泣き出した。私は、とっても切なかった。皆さんが頑張ってることが、よく伝わってくるから。だから、胸が痛かった。

「そしたら、告知するから。んー、1月。待てる?岩手県に帰ったら、相談してみるから。」

「うん、それなら、待てる!」涙を拭いていたり、わーっと泣き出したり、皆さんの表現は様々でしたが、本当、一人一人を抱きしめたかった。

 明日から、過酷な現場に帰らなければならないみんな。顔色も悪い。表情もない。

「よし。そうしたら、みんなが頑張ってることね、ちゃんと警察、海上保安部、自衛隊、消防本部に伝えるから。いのち新聞のメンバーにも伝えて、被災地からYouTubeで発信するからね。待ってるんだよ。」

この日のセミナーは、大幅に内容を変えて、私が東日本大震災で経験したことをお話ししました。

それから法医学の先生が、僕が笹原さんに伝えたことは、何を話しても良いから。そして、出来るだけ災害関連の資料を多く持って行きなさい。そうアドバイスしてもらった。助かった。やはり、その資料を全部、使うことになった。県内外、法医学教室の皆さんも、色々アドバイスしてくれて、挑んだセミナーだった。

質問された一人一人に、声を掛けた。

災害はね、チームで動くんだよ。一人でなんでも背負っては潰れてしまうよ。

それから、ちゃんと寝ることね。

心の終わりはないかもしれないけど、動きの終わりはちゃんと一回ずつ来るからね。

後から後悔しないように、目の前の一つ一つに心を込めて積み重ねてね。

理解してくれる人を、増やすことね。私たちだって居るんだからね!忘れないで!

そうだね、嫌なこと言う人も居るよね。災害の時、私もそれを経験したよ。辛かった。でもね、理解してくれる人も相当数居る。自分のエネルギーは限られているからね、そのエネルギーは、大事にしてくれる人と大事にしたい人にに向けていこうね。みんなの頑張りを知ってくれている人の方が圧倒的に多い。亡くなっていく人だって、みんなそうなんだよ。目の前の人と心通わせようね。大事なこと、見つめていこうね。

そんなことを話した。私も、必死だった。

そして岩手県に戻って、警察署長に相談して、警察、海上保安部、自衛隊、消防本部にセミナーのことを伝えました。

告知の了承をいただき、1月11日にYouTube UP決定。

海上保安部からの声掛けも、とても嬉しかったです。3月11日のYouTubeで終わらせることはないよと、声を掛けていただきました。皆さんが同じ思いでいてくださって、その後も継続してYouTubeでUPすることをご承諾いただきました。

 毎日、医療従事者の皆さんからの連絡が絶えません。その切なさが伝わってくるから、私も胸が痛い。とても苦しい。

 セミナー講師を続けて15年近い。ここまでSOSを受けることは、私も初めての経験。

 その思いをしっかり受け止めて、YouTubeに組み込みます。

 待っててね。理解してくれる人たちの力を借りて、ちゃんと、みんなの心に届けます。

だから、待っててね。

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