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日総研・東京セミナー

先月は、東京の同じ会場で新生児と小児に特化した形での一日セミナー。

今月は、エンゼルケアと死化粧、グリーケアの内容で一日、お伝えしました。

各演題の内容で、日総研さんから専門書を出版させていただいていますが、セミナー終了後には、会場に準備していただいた書籍が完売しました。

サイン会と、質疑応答の時間が大変人気です。セミナーを終了してから、1時間半〜2時間はその時間になります。皆さん、一生懸命です。

実はこの時間もとても大切にしています。みんなから頼られる素晴らしいプロだけど、遺族の立場の方が多いからです。

今回のセミナー終了後には、子どもさんを亡くされた方から、「亡き子のね、お母さんはこれからも私しか居ないんだと、今日、確信しました!」涙を流し、笑顔で、母の顔で、そう教えてもらいました。プライベートで自分のペースを見付けたら、プロとしてその人にしか出来ない素晴らしい活躍が出来ると思います。

自分が遺族だから、分かることが沢山あるものですよね。歯を食いしばって、踏ん張って、人の見ていないところで泣き、平気なふりをしてみたりして、でも全然平気じゃなくて・・・、今、何してるのかなぁ?って考えてみたりして、実はみんなそうやって、大切な亡き人といつも一緒に生きているのだと思います。

今回は「親子」のお話しを後半にしました。

親子で亡くなっている現場がある。親は、ガリガリに痩せていて骨と皮の状態。子どもはふくよかで、死の直前にご飯を食べさせてもらっている。手持ちのお金で買えた、最後のおにぎりだったのかもしれない。親は、相当長く食べていない。子どもは、ちゃんと食べさせてもらっている・・・。死因とは別に、個人的な心情として、立派なお母さんだったと私は思いました。

同じ親でも、長期的に食事を与えないだけでなく、世話もせず、親が子に無関心な状態で放置されている子どもたちがいる。自分の思い通りにならないことで、攻撃するだけでなく生命を奪う結果になっている現場がある。子は、精一杯親を求めていたけれど、親は子に無関心だった。このように信じられないほど残酷すぎる、そういう現場がある。
お話ししたり、お風呂に入れたり、一緒にご飯を食べたり、子守唄を唄いながら添い寝したり、少しでも安心出来る環境を作ってあげたかったと、そう思う現場もある。生前に出会えなかった苦しさを、抱える現場がある。

求めても反応もしてもらえない、そういう無関心ほど、残酷なことはないと思う。1人のいのちが終えて死を迎えたことに対して、心底嘆き、悲しんでくれる人が居ない現場も、実は多くあるものです。

死を迎えた子どもたちやその人たちを前にして、その人の死に辿り着く前に、無関心な環境で生きざるを得なかった子どもたち、その人たちの背景への悲嘆が、先ずは私を悩ませます。

親子って、何だろう?
環境って何だろう?
生活って、何だろう?

私には、技術がある。最後の仕上げではこだわりの、亡くなられた方を最高の笑顔にすることが出来る。これは、人から褒められるためにあるものではなく、評価をして欲しい訳でもありません。

私には教えてくれる先生も居なく、孤独で苦しい時期もありました。でも、いつも亡くなった人が支え、励まして色々教えてくれた気がします。一人一人と真剣に向き合って来た結果、亡くなった人たちからのご褒美が、私が持つ今の技術だと思っています。

この技術は、そのような究極の現場に、様々な職種の皆さまから声を掛けてもらえることになり、その人生に触れ、送り出すお手伝いをさせてもらえること。私はただ嘆くのではなく、触れること、しっかり関わることを許してもらえる、技術は、亡き人とつながるための私の宝物でもあります。
無論、これまで出会った亡き人が、新たな亡き人へと、技術を通してつなげてくれているのだと思っています。

死の現場は、生きて来たことを教えてくれる。死によってもたらされる縁もある。死を迎えてからその出会いにより、血がつながらなくても深く悲しんでくれる人たちがいることを、皆さんに知ってもらいたかったので、お話ししました。現場には、たくさんの人たちがいて、真摯に関わってくれています。私の悲しみは、現場で多くの人たちと共有されています。

生きていた時は孤独だったかもしれない。本当は、願わくば生きている時にそれが解決出来れば一番良かった。
でも、悲しいことに死を迎えた。亡くなってからも孤独だったかと言えば、そうじゃない。沢山の素晴らしい人たちが孤独だった子どもたちやその人たちを愛し、涙を流し、関わってくれていることだけは、どうか知って欲しかったのです。本気で一緒に悩んでくれる人たちが沢山いる、そういう素晴らしい方々と一緒に、私は普段からお仕事をさせていただいています。

全国主要都市の会場を回らせてもらっていますが、日総研セミナーには「あきらめたくない」プロの方々がたくさん参加されています。

「あきらめたくない」ということは、そういう気持ちにさせてくれる素晴らしい出会いを経験され、その方の気持ちに応えたいということだと思います。だから、私も一生懸命に応援します。

悔しさも後悔も、出会った証拠。きっと、大切なものの一つなんだと思います。

遠くは宮崎県からお越しいただいた方も居て、今回も、会場は満員で熱気にあふれていました。丸一日のセミナー、大変お疲れ様でした。

皆さまお一人おひとりのご活躍をご祈念申し上げます。

おまけ〜
岩手県に帰って来たらとても寒くて、じじと反射式ストーブで、焼き芋を焼いて食べていました♬

梅雨の時期は寒い日が多く、ストーブ焚いてます。

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