ブログ

いのち輝かせて

 「怪談研究クラブ」のシリーズ2冊目を発売して二週間が経ちました。反響が大きいです。

と言うのも、2冊目は東日本大震災の体験に触れ、当時の様々な話しを物語として組み込みました。

2冊目を出版するにあたり、釜石市、大槌町、山田町、宮古市に昨日、一昨日と関係者の皆さまのところを回って、無事に出版されたご挨拶に。

2冊目の内容の舞台は「宮古市」です。宮古市では、本に登場している施設長関口さん、魔法使いと妖怪の、のりっちとひかるさん、天女のぶ子と天女千春と会って来ました。みんな、東日本大震災で尽力された方々です。震災の、裏も表も知っている、そんな人たちばかりです。ですから、やはり震災当時の話しになり深い時間になりました。

のりっちが、面白い話しを教えてくれました。

「2冊目の怪談研究クラブが発売された後、

火葬場に馴染みのある一人暮らしのおばあさんが亡くなって、僕が火葬を担当したんです。

おばあさんはきっと、いつものように火葬場に遊びに来てくれてるのかなって思って過ごしていました。

そんな中なんと火葬場に、本の内容の通りに野良猫が住みつくようになったんです。

本の中では、おじいさんと野良猫の物語があったけど、

実際の火葬場では、おばあさんと野良猫かもしれない!そんな思いで過ごしていましたよ。」

偶然でも、なんとなく改めて生と死を考えさせられる話しでした。

のりっちとひかるさんは、私がうなるほどすごいと思う、火葬場の職人さんです。自分の仕事に誇りを持ち、亡き人と遺された家族を紡ぐために、日々探求しています。

すごいなと思ったのは、おばあさんを想い続けてくれていることと、野良猫を保護してくれていること。生と死の境目がなく、いのちを大事にしてくれていること。のりっちは、困った顔をしながら話してくれていましたが、それは、一つ一つのいのちを輝かせてくれている話のように、私には聞こえていました。

死に携わる仕事は、その人の生きた人生という生に携わること。のりっちとひかるさんの話は、いつもそのことを強く意識させてくれます。

東日本大震災から10年。この10年の、1日1日の積み重ねは、生きていることを強く意識して、亡き人と共に歩み過ごし、同じ思いの沢山の人たちとご縁をいただいた、そんな10年だったと思います。

お空に行った皆さんは、いま、何をしているのかな?皆さんはお空の上で、どんな10年目を過ごすのだろう。できることなら、私たちと一緒に過ごしてもらえると良いな。そんなことを思いながら、車窓から今は静かな海を眺めていました。

関連記事

著書のご案内

おもかげ復元師(ポプラ社)


遺族の深い悲しみを、生きていく力に変える。ボランティアで300人以上を復元した女性納棺師が綴る、生と死のドラマ。
この商品を見る
おもかげ復元師の震災絵日記(ポプラ社)


東日本大震災後、津波被害の激しかった沿岸地域で300人以上のご遺体を復元した女性納棺師が描いた絵と言葉の実際のスケッチブック。
この商品を見る
看護職・介護職が行う エンゼルケア・死化粧とグリーフケア (日総研出版)


数多くの旅立ちに立ち会った 復元納棺師が教える エンゼルケア・死化粧とグリーフケア!
この商品を見る
納棺・遺体処置実務実践資料集(綜合ユニコム)


損傷部位の処置、溺死、縊死の処置など、ケース別の対処法を詳解!
この商品を見る
新生児・小児のエンゼルケアとグリーフケア(日総研出版)



震災でたくさんの子どもを見送った復元納棺師が遺族の負担の和らげる技術を動画解説!
この商品を見る
ご遺族参加型納棺 実践DVD(綜合ユニコム)


家族とともに行うための着せ替えの手順と手技のポイントを「全体」と「視点やポイント」の編集構成で、わかりやすく見せます!
この商品を見る
ページ上部へ戻る