12.152017
ニュースについて
〜赤ちゃんの頭にコンビニの袋で処置のニュースについて〜
モラルや尊厳に反した、起こってはいけないことが、起こったと思います。とても悲しい事件です。
突然死や原因不明で亡くなった場合に、息を引き取られた状況や場所で決まる管轄下において行われることが多いのが解剖です。
解剖は司法解剖の他に、
病理解剖や行政解剖があります。
いずれも、医師が担当します。
なぜ亡くなったのかという、死因の特定のため、病気の原因や理由、経過を調べるためなど、本人のことをきちんと知るためのものです。
今回の事件の内容について、一昨日から法医学の医師や刑事さん方と、そして多くの遺族の皆さんとも話していました。
ありえない、あってはいけないことだと私も思います。はっきり言って、信じられない。
報道でお母さんがコメントされている通り、
「首に巻かれた苦しそうな包帯も、頭に巻かれたグルグル巻きの包帯も全部取って、頭には帽子をかぶせた。」
その通り、今回の件を考えると、
体液が大きく漏れる可能性も低く、解剖も解剖後のお手当も、体の仕組みに合わせ、色々配慮されて法医学の医師が帰してくれることが多くあります。だから、お母さんが包帯を取っても、直視できる状態に配慮されていたことが分かります。
引き継いだ葬儀社が、コンビニの袋や色々を使って、そこまでの処置をしなければいけないほどの状態だったのかと考えると、
前者で述べた通り、そんなことがあるはずない。
お母さんが包帯を取って、帽子をかぶせたと言っている通り、そこまでの追加の処置が必要だったとも思えない。
小さな赤ちゃんの人生が、あまりにも切なすぎる結果を招いています。
もっときちんと議論して、遺された家族の思いをきちんと汲んで、改善されなければならないことだと思います。
数日前、生後間もない赤ちゃんの納棺を担当しました。若いお父さんが言いました。
「1日、1日を大事に生きてくれました。生まれてきてくれたから、みんなに可愛い我が子に会ってもらうことが出来たし、抱いてもらえました。自分の子として生まれてくれたことを、これからも大事にして生きて行きます。」
親としての務めを果たそうとするお父さんの立派で愛情深い言葉に、私も胸がいっぱいになりました。
そういう気持ちで我が子と過ごす、限られた大切な時間を預けられている責任と意識を、私も現場で強く感じながら、今のベストを尽くし、この後の環境管理を遺族の心情に配慮しながら行います。
遺された家族は、私の現場用のボックスを覗き、色々質問をされることも多くあります。一つ一つ説明をすると、安心に変わります。私たちの会社は2つのバッグがあります。
1つは色を直したり、肌の状態を戻す目的のもの、
2つ目はイレギュラーの時に対応するバッグ。臭いや血液、体液を止めて、形を戻したりと色々なことに対応出来るよう、家族が安心出来る状態に戻すための目的として、大きなバッグを持ち歩きます。
今回の事件は、体の仕組みと死後変化の勉強不足、準備不足、道徳倫理不足、特殊なマナーに対する知識不足が問題だと思います。
遺族の怒りは、信じていたのに裏切られたということだと思います。
寄り添いを求められたプロが、遺された家族の悲しみを怒りに変えてはいけない。
仕事は、リクスと向き合うことが多くあります。自分の判断次第で、誰にでも起こりうることだとも思います。大切なことは何かを見失わず、肝に命じて挑まなければいけません。
小さな赤ちゃんの人生に、
心からお悔やみ申し上げます。