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じじ、心臓のステント術

じじが、入院しておりました。心臓の血管が細くなっている狭心症という診断を受け、心臓の血管にステントを入れる手術を受けることになりました。

〜県立病院を受診、入院まで
2回の診察を経て、入院に至りました。県立病院の循環器の先生からインフォームドコンセントを受けるため、私も2回の診察に付き添いました。(急なことだったため、アポイントを変更していただいた皆さま、ご迷惑をお掛け致しました。ありがとうございました。)

〈手術を決断するまで〉
すっかり元気が無くなってしまったじじ。後で聞くと、人生が終わることを覚悟していたそうです。実は私もそうなることを、何%か覚悟していました。

それは、母の件でした。

過去に動脈瘤の手術中に、脳梗塞を発症した後、身体障害者1級、要介護5、失語になった経験があったからでした。

その時に先生から説明を受けて、納得しています。でも、生活が大きく変わったこと、母の現状を受け入れて生活のペースが整うまでは、たくさん泣いたし、本当に苦労しました。家族全員が、プロの人たち、近所の人たちに助けられ、支えてもらって、みんなで母の気持ちを知り、母のペースも作って行こうとしていました。

その時の混乱期にご縁のあった医師、看護師さんが、今、じじがお世話になっている、訪問診療です。今回の心臓の件も、訪問診療で見付けてもらいました。

今回のじじの手術のことは、県外に住む姉と、家族全員でよくよく話し合って、一度は手術を受けないことを決めていました。でも、そうなれば心筋梗塞を起こす確率も高く、通常の生活が困難になっていくことは明らかでした。

何度も、ホームドクターと看護師さんに、じじと私、各々の不安を何度も数え切れないくらい聞いてもらった結果、

じじ本人が手術を決め、みんなも覚悟を決めてじじに従うことにしました。

〜入院の日
番号10番の方〜
「はーい!」

番号12番の方〜
「はーい!」

「全部に手を挙げるのはやめなさいよ。じじは、13番でしょ!」と、私に怒られたじじでした。

じじ「だってー。」

私「だってー、じゃ、ないからね!迷惑だから、やめなさい。」

〜病棟へ
いつも静かな?自分の部屋で過ごしているじじ。1泊目は、人の気配や寝息や咳で、眠れなかったらしい。仕方ないんだよ、みんな病気を治しに来てるんだからね、と話して聞かせた。

じじ「耳栓、欲しい。」

というので、買ってきた。息子、じじにしてみれば孫、高校三年生。手術の日は、学校を休んだ。入院した七日間は毎日、自らの意思で自転車でじじの病室に通っていた。そっかぁ、不安だったんだなぁ。

孫が、耳栓の仕方を教えながら、じじの耳に耳栓をセット。そして、

孫「聞こえる?」と聞いた。

じじ「うん!」←元気いっぱい答える

孫「なんで!聞こえちゃだめじゃん!」

じじ「あ、そっか(笑)」

みんなで、大笑い。

〜スイカ
お小遣いで、じじの好きなスイカを買って来た孫。

孫「スイカの種は取る?」

じじ「取らなくて、いい。」

孫「なんで?食べるの?」

じじ「時にはな!」

孫「なんで〜」

そんないつもの意味不明な会話が、病室でも繰り広げられていた。

〜手術の前
看護師さん「導尿しますよー。」

じじ「え?オムツするの?パンツ取るの?トイレ行って来ていい?シャツ脱いで良い?」

慌てている様子(笑)。どうやら、恥ずかしかったらしい。

私「あのね、病院に来て、手術に来てるんだから、無駄な抵抗はしないで、看護師さんの言うこと聞いた方が早く終わるよ。」

じじ「ほーい。」

〜運命の手術
手術の当日は、終わるまでご家族は院内にいて下さいと指示があったので、じじを手術へ送り出し見送った後、じじの病室のベットで待機することにした。

カテーテル検査の後に、主治医の判断でそのまま術に入るということに同意していたので、看護師さんがベットに来て言った。

「カテーテル検査の結果、ステント術に引き続き入りますと先生から連絡がありましたので、お伝えします。」

ドキッとしたものの、「分かりました。よろしくお願いします。」と、答えた。

4時間半後、処置室に来てくださいと案内があったので、看護師さんに案内されて向かった。

処置室に着くと、主治医からの説明があった。
「ステント術中に、心筋梗塞を起こしたので、痛みを取るための薬を使いました。ステント術自体は、成功しています。今、薬のせいで少しボーっとしている状態ですが、とても我慢強くて、本人は大丈夫と話してくれますが、我慢しないで大丈夫ですよと、声を掛けるとやっと実は痛いんだと話してくれました。痛みは、今は無いですよ。」

私は、言い忘れていた。じいちゃんはとても我慢強いので、病院では我慢しなくていいんだよと、伝えるのをすっかり忘れていた。とても、反省した。

〜処置室から、ベッドごと出てきた
心筋梗塞を起こして、強い痛み止めの薬を使っているので、歩行は困難な状態。酸素が継続されているため、処置室から酸素ボンベと一緒にベッドごとじじが出てきた。

看護師さん「目を開けてください」

じじ「開けてますけど?」

看護師さん「開いてませんけど?」
上下のまぶたを広げて「開いた、開いた!」

みんな、大爆笑!!じじ、目が小さいので(笑)、素晴らしい看護師さんだった!目やにをきれいに拭いてくれて、病室まで話し掛けてくれていました。

じじ「ほら〜、だからおれさぁ、テレビで言っていたからさぁ、年寄り用のまぶたのたるみを取る手術したいって言ったでしょ〜!」←私に熱心に語る、じじ。

出た!テレビっこのじじ、また得意のテレビの情報だ!確かに、言っていた・・・。私が、聞こえないふりをしたことは言うまでもない。

〜その後の病室で
じじ「この、洗濯バサミみたいなの、何?」

私「酸素が末端までいっているか、測る機会だよ。その数値を見て、大丈夫だったら酸素終了出来るからね、医師指示で!」

じじ「フーフー」←洗濯バサミみたいな機械に息を吹きかけている

私「気持ちは分かるけど、無駄な抵抗だから、あきらめなさい。」

じじ「・・・。」

あきらめたのか、静かに目をつむる、じじでした。

〜翌日、術後検査開始
付き添ってもらい車椅子に乗って、胸のエックス線写真を取りに行くことになったじじ。

私「良い男に撮ってもらっておいで!」

じじ「え?顔取るの?」

看護師さん「胸だけですよ〜」

じじ「なんだよ〜。」←手ぐしで髪を(あんまり無いけど)整えるジェスチャー

少しして、思いがけず早く帰って来たので、

私「早かったね?」と聞くと、

じじ「スピード違反して来た!」と言った。

私「勘弁してください。」

じじ「テヘッ。」

相変わらず、トンチンカンだ。

〜食事中
じじ「フォークあれば良いな。孫の手じゃ食えん」←背中をかく、孫の手を持参していたらしく、それを見せるじじ。

私「でたー!」持ってきたフォークを渡すと、満面の笑みのじじだった。

〜ハプニング!ご飯が飲み込めない
じじ「ごはんが飲み込めなくなった。どうしよう。」

心筋梗塞の数値が下がらず、退院が2回伸びて不安もあったのかな?入院4日目に、それは突然起きた。担当看護師さんに聞いてみた。「体の問題?心の問題?」

看護師さん「心筋梗塞以外の検査の結果自体に、問題はないんです。」

私「じゃ、心の方か・・・。」

たまたま、じじが大好きなそうめんを持って病院に行っていたので、

私「食べてみる?」と聞いた。

じじ「うん、お前がいる間に、食べられるか試してみる!」

私「よし!」

じじ、一口目の飲み込みは、胸を少し叩いてみたりして、だいぶ時間が掛かっていた。モグモグタイムも、少し長かったが・・・、モグモグ、モグモグ、モグモグ、モグモグ・・・、ごくん。その後、言うまでもなく、そうめん完食!

私「完食だね。」

じじ「あー、良かったなぁ。どうなるかと思った。あー、食った、食った!」

帰り、ナースステーションに寄り、担当の看護師さんに経緯を説明。「完食っす!」

〜二泊三日の予定が
二泊三日の予定だった、今回のステント術。術中に心筋梗塞を起こし、数値が下がらないことで、退院が二回のびた。

じじ「帰りたい。俺は、一体、どうなるんだ?」

ご飯が急に飲み込めない、嘔吐、心筋梗塞という経験を入院中したものだから、不安になったのかな〜?

私「混乱してる?」

じじ「うん。」

訪問診療の先生と看護師さんの所へ走る、私。ステント術終了の後、心筋梗塞を夜中に起こしていたことを、じじが不安がるから言っていなかった。経過と、薬の追加の件と、じじの不安を相談させてもらった。少し、気持ちが楽になった私。

なんと、相談に伺ったその日、訪問診療の先生と、看護師さんとで、じじを見舞ってくれたのだ。じじは不安を沢山聞いてもらって、満面の笑みだったらしく、それを聞いてあー、やっと、ホッとした。ありがたや、ありがたや。

〜退院
その後、とても順調で、退院となりました。入院前、時々行く一円パチンコの会員カードのポイントと貯玉を清算したと聞かされていた。

私「パチンコ屋さんのカードは、破棄したの?」

じじ「いや、生還した時のために取ってある!」

私「なるほど(笑)」

年寄りは、いつも何か覚悟しているものだ。特に、我慢と覚悟の連続だったと話す戦争を経験しているから、余計なのかもしれない。潔(いさぎ)良い所は、さすがだなぁと今回、特にじじから学んだ気がした。

〜最後に、おまけ
ステント術を終えて、処置室からベッドごと出て来たじじ

じじ「生還した!おれ、生きてるな!」

私「生きてるよ。」

妻(私にしてみれば母)の手術時の経験が、やっぱり相当トラウマなんだなぁ。と、思ったが、私も実はじじと、同じ気持ちだった。

じじ「あのよ〜、若い男の子の研修医がよ、ずーっとじじの肩に手を置いて、

「大丈夫ですよー、大丈夫ですよー。」

って、ニコニコして励ましてくれたんだよ〜!あ、痛いのは治るんだなって思ったら安心したよ。

でよ、研修医の男の子に御礼言おうと思って探したのさ、身体が動かないから、頭を上下左右に動かして探した訳ね〜、

どこにもいないんだよ。

そしたらみんな、元々研修医は3人で、4人ではありません。って言うんだよな。

肩に手を置いて励ましてくれたよって言ったらよ、

誰もその位置には行ってませんよって言われた。

おれ、あの子に御礼言いたかっただけなんだけど、何処に行っちゃったんだろう?あの研修医の子のおかげで、頑張れたんだけどなぁ〜。また、会いたいなぁ〜。

と、ステント術終了直後に話していたじじ。退院時に確認したら、そう話したことをじじは全く覚えていない。でも、私と孫、看護師さんはじじの話しをしっかり覚えていたのでした〜。

〜若い研修医の男の子へ
じじの心細い気持ちを支えてくれて、傍にいてくれて、本当にありがとう。じじ、とてもありがたかったと話していましたよ。

〜自宅に戻り
犬と猫三匹が、じじの帰りに大喜び。退院の翌日、訪問診療を受けて、じじも安心しておりました。

そして、普段の生活に戻ったじじでした。じじを支えていただいた皆さまに、感謝申し上げます。ありがとうございました。

ブログをなかなか更新できなかったことで、本当にたくさんの方々からご連絡いただきました。ありがとうございました。

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