8.172018
怖い話大会 3、おまけ
怖い話大会 3、おまけ
学生さん方がせっかく岩手県に来てくれたので、と話し始めた岩手県の民話の数々。
いま、世界中から岩手県の民話を研究するため、沢山の研究者が来県してると聞きます。
沿岸も沢山あるし、内陸にも多くの哀れ物語が残る、岩手県。
日本一、民俗芸能が多い県である理由が、哀れ話しの多さに現れているのかも知れません。民俗芸能は、供養の意味が深いので。
言い伝えには、必ず背景があります。全体的な表の顔の話しを聞いたら、次には裏の面の時代背景を辿る。この裏の話し、その民話の真実は口のかたい地元の人と仲良くならないと、絶対に教えてもらえない。その真実を知り、深く知るのも民話の面白さ。
幽霊となり、人前に出て何かしら問題になるという民話も、実は多く残ります。幽霊と人のやり取りの中に、生きるヒントが沢山隠されています。
知れば知るほど幽霊が切なくなって、愛おしく大好きになって、守りたくなる。守りたくなるから、語り伝えようとする。それが、民話が口伝えに伝承されてきた実績。
一番知りたい、幽霊の気持ちの答えが民話では語られていないから、語る人の人柄でその民話は人格を持っていくのかも知れません。幽霊の気持を一生懸命考える時間が、心を育ててくれる時間です。
12日の夜に学生さんに、語り部をした私。
13日の朝に、なんてことなく「おはよー!」と声を掛けると、
「昨日話していた場所に行きたい!教授が新幹線で到着する時間までに戻ることが出来れば大丈夫です!」
学びに対するこのステキな貪欲さ、素晴らしい。その熱心なまなざしに負ける私。
私「じゃ、行こうか。」
学生みんな「やったー!」
私「だいたい、幽霊って言ったってね、名前が付いていれば人だからね〜。会えたら挨拶するだよ〜」
学生みんな「はーい!」
なんて、素直なんだ(笑)私も昔は、こんな風に素直だったっけ(笑)
民話を大切にしてくれない人は、連れて行かない。大切にしてくれる人は、案内する。あと、スケジュールが合うかどうかかな?(笑)
それは、その民話が残る場所一つ一つが、地元の人たちがとても大事にしている場所だから。失礼があっては、いけない。地元の人たちにとっては、いわゆる秘密基地のような場所。それが、民話の里です。
秘密基地は、比較的山奥。だから、夏はアブがいて危険でもある。
まぁ、幽霊に会う怖さの危険度より、アブに刺される危険度の方が高いと言えるだろう。
どうやらみんな、民話が好きなようで(笑)度々岩手県を訪れては色々な人に会い、様々な民話を教えてもらっていたようでした。
学生さん「聞いた話を語るので、答え合わせをしてください!」
私「いいよ、語ってみて〜。」語り部を増やしていくのも、私の仕事(笑)
学生さん、語る、語る。「どうですか?」
私「うん、合ってるけど、あらすじ的な感じだね。実際はね〜〜」
深く物語を語りつつ、ポイントを伝え、言葉の使い方とつなぎ方を教える。これが、民話を語る時のむずかしさでもある。
私「民話の語り方を覚えておくとね、言葉の変換法も身につくから、コミニュケーションを深められるようになるんだよ〜!」
学生さん「わー!」
私「亡くした大切な人を偲ぶとき、民話と同じく物語として遺族はみんな、心を掛けて自分のオリジナルで形を整えて、大切なその人の人生をまとめ、遺された人にしか出来ない仕事として、物語を作っていくの。
民話を伝えた最初の人は、伝えたい人つまり亡くなった人の家族だったかもしれない、家族じゃなくてもその人を深く思う悲しみを持っていてくれた人だったかもしれないよね。
そう考えながら民話の内容を読み解いていくと、時代を超えていろんな人たちに出会える気がするもんなんだよ。」
怖い話大会では語らなかったお話しと、沢山出会ってもらった時間でした。
いのち新聞で100物語を語る決心をしたのは、被災者の皆さんが教えてくれるお話が、今生きる私たちがこの世からいなくなっても、遠い未来まで誰かに大切に心を込めて語られ、いつか民話と呼ばれるようになってくれたら良いな、そんな願いを込めていのち新聞に載せることにしました。機会があれば、読んでみてください。弊社ホームページの、トップページからいのち新聞を読んでいただけます。