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日本法歯科医学会第14回学術大会

    法歯学とは、法医学、社会歯科学の一種として法科学の中の分野。犯罪捜査や裁判など法の適用過程で必須の歯科領域を研究、応用する学術。歯科法医学、歯科学医学とも呼ばれている。
(forensic dentistry、forensic odontology)

 今年は、岩手県盛岡市が大会会場でした。法歯学の大会長から「法医学医師から、笹原さんを紹介されたよ」ということで、お声を掛けていただきました。大会長とは、とても仲良くさせていただいています。とてもステキな研究者である女性法歯科医です。恐れ多いことです。

 デモンストレーション4回、人体模型4体を製作し展示、60分の特別講演を担当させていただきました。

 特別講演では、普段から御教授いただいて大尊敬している法医学医師に座長を賜り恐縮でした。講演のストーリーや、発表の内容など、色々相談に乗っていただき、お陰様で終了後には会場の先生方々から沢山の御質問をいただきました。

 東日本大震災では・・・と語りたい所ですが、法医学、法歯学の分野は警察も大きく関係してくることなので、学術大会の内容は多くを語れません。が、語れる内容としては、

人は誰でも、明日生きる保証はありません。

自分がどのような死の迎え方になるのかも、分かりません。

死亡した後、

大切なあなたがあなたであること、

この私が私であること、

それを証明してくれるのが、死体検案書、死亡診断書です。

もしかしたら、誰もいない所で死を迎えるかもしれない。

もしかしたら、何かに巻き込まれて、自分と断定しにくい姿になるかもしれない。

何で死亡したのか分かりにくいかもしれない。

異常死体と判断された場合に法医学、法歯学の専門分野でお世話になる訳です。大都市では監察医制度があります。ここではスペシャリストがチームになり、専門的に診察されます。私が言えるのはここまで。

 アンナチュナル、監察医朝顔、海外ドラマではBONESなど、法医学の色々なドラマがあるので、参考にしてください。

 法歯学は、世界中にある学術です。災害やテロでも、法歯学が欠かせません。

 普段、歯科医に診てもらって、カルテがあればもっと特定が早い。だから、定期的に歯科に通っていた方が良いと、私は思っています。

 参加させていただく中で、私の心の中にちょこんと存在し続けてくれている言葉との出会いがありました。

 楽しみしていたアメリカの法歯学の先生がコロナの影響で来ることができなくなり、映像での発表に変更になりました。アメリカの先生の活動も、FBIとの内容なので私の口からは言えませんが素晴らしい内容でした。

 大会長から「きっと笹原さんが、今一番知りたいことだと思うよ。」と言っていただいていましたが、本当にそのまま、そうなると良いのにと考え続けて来た私が求めていた以上の高度なものでした。

 すごい・・・。瞬きも忘れていて、感動で絶句しました。

 映像の中で発表してくださったアメリカの先生の、最後のコメント。

「ソーシャルディスタンスは、人と人との距離を取るもの。人の心と人の心の距離を取るものではありません。忘れないで。間違わないで。」

 本物だと思いました。この先生は、悲嘆をよく理解されていて、真摯に多くのご遺族のケアをされ、一人一人をきちんと診てくださる、今の最新の悲嘆も見つめて対応されている方なんだと思いました。

 どんどん新しく出る情報に戸惑う世の中には、今までには無かった特殊遺体復元が実際には発生しているからです。アメリカも、世界中がそうなんだなと、そうとも思った深い言葉でした。

 私の心の中に、ちょこんと存在しているこの言葉は、私の一生の宝物になることでしょう。

 今回の学術大会は、長期にわたり沢山の皆さんのお力を賜りました。御協力いただきました、法医学、法歯学、医師、歯科医師、警察の皆さん、医学部学生、報道の皆さん、そして弊社桜の職員。同じ目的で大会長のために尽力した、ステキなチームでした。心から、感謝を申し上げます。ありがとうございました。

 そして私は今日も、昨日も毎日現場に走っていました。

 一人一人、死因もお別れの形も感情も違います。亡き人のために、ご遺族は誠心誠意亡き人に向き合い、悲嘆の中でそれぞれの形を探して過ごされています。大切な人を亡くした今、今ある、過去にあった、そして過ぎていく時間を心に大切に刻まれています。ゆっくりで良いので、自分のペースを作っていただけますように・・・。

 少しでもご遺族の傍に居てお役に立てるように、今の環境に心から感謝をして、 今後も法医学、法歯学を学ばせていただきたいと思います。

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