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能登半島地震遺体保全復元支援(2)

 
 
 要請があって約1週間の支援に入り、感じたことです。以下に記します。

〈環境〉
 災害が発生した時期が冬であることで、先ずは寒すぎる。被災者も支援者も、体の負担が大きいと思います。私が現地に入った日も、氷点下の日が続きました。温かい飲み物や食べ物はゆっくりセロトニンを狙い元気が出るから、免疫力も期待できるかもと思いました。私は常に、靴の中にカイロを入れていました。余裕があれば背中にも。全身が温まる感じがしました。

 作業中は一体型の医療用ガウンを着ます。ジャンパーを脱いでも、作業自体の動きがそんなになくても、集中していたのもあるかと思いますが、寒さは感じませんでした。そうか、寒い時に防寒対策として着るのも有りだと思いました。

 冬は感染症も流行る時期です。マスクや消毒液も不足し、断水が続いている地域は感染対策も難しいです。せめてウェットティッシュか消毒液があればと思うことも度々ありました。衛生面が心配になりました。傷口が洗えない、絆創膏を交換できないと傷口は簡単に言うと腐ります。自分たちが持って行った備品を物資に切り替えて、必要な場所に提供しました。被災地支援の時は、やはりいつもより、かなり多めに持参していてよかったと思います。
 体の冷えが補えるような上着や手袋、耳掛けやマフラーも必要かもしれません。マフラーはマスクの代わりにも、膝掛けの代わりにもなりますから、あれば有効に使えるのではないでしょうか。

 同時に冬は夕暮れが早く訪れますので、気持ちが落ち込みやすくなります。停電の地域は特に街灯なども無く、暗闇に包まれていました。
 けれど冷え込みも厳しいから、星はすごかった。

「悲しくなった時は空を見上げて星を見て、お空に行った本人に話し掛けていたよ。」
「涙がボロボロ出て嗚咽したっ」
「鼻水も出るから、ティッシュは必須だよ」

 確かにあの夜空は、別格でした。我々の母ちゃんの会の母ちゃん(鈴木さん)に、教えてもらった話しを思い出していました。確かに、夜に外に出て泣けば、誰にも見られなくて済むな。さすが、母ちゃん。(YouTubeおもかげチャンネルに登場してくれています)
 地震も未だに多いので、ロウソクは危険かもしれません。持ち歩けるような電気などがあれば、電気の明るさに、気持ちが少し良い影響を与えるかもしれません。
 支援の2日目の夜に気が付きました。発電機が届き始めたのでしょうか。町の何ヶ所かに街灯が確認できました。多くの専門職の方が奔走されているのを実感しました。大変な状況の中だけれども、少しずつ届き始めている。

 今は冬が始まったばかりで、春までは長い。
 東日本大震災の初期、「いつまで続くのだろう」とみんなで話していた時期を思い出します。1ヶ月くらい経ち、「いつ終わるのだろう」と話し合いました。そして2ヶ月後、3ヶ月後には「これが終わるから、次にこれをやろう」とペースができました。被災地は確実に動きがあります。今は初期の心情だと思います。でも、春は必ず来る。暖かい時期が来れば出来ることが、今以上に増えます。

 「復興はすぐには無理でも、町づくりは今日から出来る。」東日本大震災の時、安置所の中で、目一杯泣き終わった後にご遺族が一言、教えてくれた言葉を思い出していました。今は、私のお守りの言葉として、とっても大事にしています。

      復元納棺師 笹原 留似子
 
 

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