4.242017
人事を尽くして
「人事を尽くして天命を待つ」という言葉があります。
ここの所、弊社でも予約の入る納棺以外にも、「今すぐ」という緊急出動の現場が特に続きました。お一人お一人の死の迎え方は様々です。
現場から現場へ走ります。精一杯の今。お手当と復元、みんな違う体の状態と背景に合わせての、全力投球。
1、霊安室の電話
弊社の復元師Mちゃんと向かった現場。そこは、霊安室でした。お顔の表情を整えて復元を終え、私たちも復元後に、その方にお会い出来るという時間があります。「ステキな方だね。」そんな話しを2人でしながら、「お顔、戻りましたよ。」と、故人に話しかけたとき・・・、霊安室の電話が鳴った。
Mちゃん「はい、霊安室です。え?はぁ、そうですか・・・。社長(私のこと)、霊安室から電話が鳴ったので、折り返して電話をしたとのことなのですが・・・。」
私「・・・あら。私たちは(あくまでもここが大事)電話はしてませんよって、お伝えして。」
Mちゃんがその旨をお伝えすると、確かに霊安室からの内線電話が鳴ったと、先方は不思議だと、話していたそうです。そして、2人で故人を見て、
私「あら?(故人を見て)もしかして電話をしましたか?まだ、着せが終わってませんから、ご挨拶まわりの連絡はもう少し後にしてくださいね。良いとき、良いですよって言いますからね〜。」と、そんなことがあって。
2、挨拶まわり
復元って、実は精神力と体力を中心に様々なことを観察しながら形に変え、頭と心を使いながら短時間で進めるので、とても大変です。その終盤に、身だしなみの時間があり、仕上げの時間に入るので、ご家族の希望を第一に、一緒に進めることが多くあります。このとき、想い出話がたくさん出ます。
そんな現場の翌日など、「変わりないですか?」と、訪問することも多くあります。昨日は、涙が止まらなかった喪主さん。
喪主「ちょ、ちょ、ちょ、笹原さん!母さんが、みんなの所に挨拶に回ったみたいで、いろんな人から連絡をもらったり、お別れに来てくれたりして、話しを聞いて驚いていた所です!」
私「そうでしたか(にっこり笑顔)。」
現場に居た長老「昔から、本人が挨拶にまわる話しは、よく聞く話だ。驚くことはないさ。」
喪主「普段、お化粧していた人だったから、生きていた時と同じ化粧をしてもらった途端、嬉しかったんだろうか、挨拶に回り始めたみたいで。化粧前は、誰もそんなこと言わなかったのになぁ。」
私「ご家族の皆さんでしてもらったので、ご本人も、普段どおりになれたから、安心されたのかもしれませんね。」
喪主「気の強い人だったんですけどね、なんか仲の悪かった人のとこにも、「世話になったな」って挨拶に行ったらしいんだけど、その人最後に腰を踏まれたって!!(笑)」
みんな笑顔。
長老「それは、初めて聞いたな(笑)」
喪主、棺に安置された故人に「頼むから、ほどほどにな。」と話し掛ける。
長老「49日までは色んなことがあるけども、お寺さんに拝んでもらってな、そうしたら不思議な現象は、ピタッと止まるもんだよ、昔から。だから、大丈夫。」
まぁ、こういう話しは日常茶飯事です。怖い話の部類ではなく、ステキな話の枠内ですね。日本には、風習と呼ばれるものがあります。お寺さんに引き継がれる前に行われる行事は、地域により守り伝えられたものがあります。不思議な話しは、民族風習と深いつながりがありますが、地域にはそんなステキなお話しが、長老を中心に、現代でも伝統として継がれています。
人事を尽くすことが、私たちの仕事(その人と今の事に仕えること)。天命を待つとは、私たちの時間の場合、ご本人の動きで結果が出ていて、ご家族が結果に支えられることが多くあるのかもしれませんね。